開室時間の変更(その4)
2025年10月17日

スーパービジョンについて

内田裕之です。

今回は、スーパービジョンについて詳しく述べます。

大学院生の方々へのスーパービジョンでは、心理療法の入り口とクライエントさんの中で展開していることを丁寧に一緒に見ていきたいと思います。

平日ですので、大学院生の方の場合、大学での空き時間に来室していただいて、心理療法の第一歩を講義ではなく、自分が担当した事例を通して考えてもらう時間がもてます。

また、アセスメントに特化したスーパービジョンも行います。
心理テストを通して、クライエントさんの行動観察を通して、クライエントさんの語りや沈黙を通して、どんなことがその人の中で起こっているのか、丁寧に心理療法家として、心の出来事を見ていく手がかりを伝えたいと考えています。

遠方の方については、スーパービジョンだけはzoomを使うことをしています。

最近、アセスメントに関する教育はおろそかになっている気がします。
心理療法を進める上で、クライエントさんの問題を把握して、心理療法の進む道を考えて、何よりクライエントさんの可能性を見出す非常に重要な作業です。

その際、拙著「心理アセスメントの常識」(遠見書房)をご参考になさってください。この本で、体系的にアセスメントを論じました。
当室でも著者割引で販売しております。

テストを使わず面接と行動観察の情報の重要性、そして拙著には書かなかったものを含めて諸テスト技法(バウム、他の描画法、SCT、PFスタディ、知能検査、質問紙法、認知症検査、ベンダーゲシュタルトテスト、ロールシャッハ、TAT、ソンディなど)ひと通りはご指導できます。

何と言っても、どの介入法であれ、アセスメントの見解、理解、所見作成、依頼者への伝達、フィードバックについて丁寧に検討する機会が持てます。

ちなみに、今後も「アセスメント情報を丁寧に見てカウンセリングや心理支援につなげていく」ことをテーマにした書籍を書く予定もあります。
その本の出来立てホヤホヤのお話もしていけます。

もちろんパート勤務で現場に出ている経験者のスーパービジョンも大歓迎です。
勤務日でない日にいらしてください。
実際に職に就き、専門家として、心理療法をどう進めたらいいのか、心理療法の行き詰まりを感じたり、自分の臨床能力をもうワンランク上げていきたいとお感じの方、お力になれると思います。

ただ申し上げておきたいことがあります。
スーパービジョンでも私スーパーバイザーとの関係性の中で進めていくことです。
月に1回という契約でよいと思います。
定期的に通って、スーパーバイジーの方の成長の度合いを見ていきます。

困った時にだけ単発でご相談にみえる方については、それはスーパービジョンとは呼びません。「コンサルテーション」と呼びます。
コンサルティの方とは持続的な関係が持ちにくいですし、我流で心理療法を進めているけど、困ったことを聞きに来た、となってしまいます。
もちろん、こちらも受け付けています。
但し、継続的な心理療法やスーパービジョンで来られる方の面接の空き時間を当てていますので、コンサルティの方にどれだけ緊急性があっても、困っておられていても、即ご対応できないことがあります。

少し考えてみてください。
継続的に通って来られるクライエントさんとの約束で皆さんも仕事を回しておられるはずです。
不定期で単発的に来られる方に約束ができないことがあるはずです。
突発的に来談されて十分なご対応ができないことはありませんか。
これと同じことです。

あと細かい話になりますが、料金のことです。
少額であれば好ましいのは理解できます。
当室ではどのような面接であれ、ワンセッション50分7000円を設定しています。
学生さんのうちは支払いも大変かと思いますので、応相談・要相談とします。但し、知り合いのある学生と同じ額だと思い込んで来られても、これは個人契約です。誤解のないようにお願いします。
あるいは、社会に出て心理職にある方も給与体系から7000円は高額かもしれません。
だからといって、2000円でお願いします、3000円でお願いします、というのは、スーパービジョンを大切に考えていない、自分の心理職としての地位も軽視されているのではないか、と思えてきます。

私が学生だった頃は学割5000円、卒業したらとたんに正規料金10000円というのが一般的でした。
私も苦しい中で捻出して、それだけの学びを得たつもりです。
この辺はよくお考えの上で、スーパービジョン契約を結ぶかどうかの大切な話です。
心理職にとって大事な現実感覚、現実原則の要請にもつながります。

今、苦言したことと重ねて、最近、腕の悪い心理職(私は心理療法家とは呼びたくない)が増えています。
個人心理療法がほぼできていません。
我流の人助けをしたつもり、という腕の悪いカウンセラーもどきの増殖に、大学職を辞めて、物が言いやすくなって、情けないと感じております。
大学院の勉強だけでプロフェッショナルになれると勘違いされているのでしょう。
あるいは公認心理師の資格が取れたらプロフェッショナルと勘違いされているのか、と疑問視しています。

例えばアセスメントに関しては、主観で決めつけたり、「可愛い子です」「頑張り屋さんです」と的はずれで浅過ぎる、クライエントさんの心の動きを見ることのできない人が多くなりました。

現場での実地経験の中で考えていかなければいけないことはたくさんあります。
立ち止まること、つまずくこと、若いうちは私も経験しました。

そんな時に、指導者、理解者がいたことは励みとなり、軌道修正となり、私の心理療法家としての成長につながりました。

厳しいことを言いました。
是非、スーパービジョンの時間を大切にしてください。