内田裕之です。
先日、本を上梓しました。
題して「心理アセスメントの常識」。
現場で長らく働いて、大学教員になってからも引き続き扱ってきたテーマです。
30年以上、取り組んできたことになります。
本のタイトルは遠見書房の山内さんがつけてくださいました。
私が大切に考えてきたことは、クライエントさんを大切にすることです。
機械的に扱うのではなく、1人の人間として接することを念頭においてきました。
臨床心理士の4つの柱として、アセスメント、心理面接、地域援助、研究が挙げられます。
その中で、アセスメントは人を見ることとして重要です。クライエントさんの人生の流れ、どんなパーソナリティを形成されてきたかを丁寧に見ることになります。
この仕事を始めて、援助にはなかなか自信がもてませんでした。しかし、テストの方は、たくさん取ってきたことで自信がもてるようになりました。
第1章で、心構えについて書きました。
心理面接にも通じる話を述べたつもりです。
第2章で、行動観察について述べました。
テストを使わずに人を見る目を養うことの大切さに触れたつもりです。
第3章では、あまり得意としていない質問紙について解説を書きました。
事例を挙げることはできず、あくまで解説です。
第4章からは、事例を扱っています。
まずは知能検査。スクールカウンセラーとして勤務していた中で出会った事例です。
ちょっと変わったプロフィールを示した事例です。
第5章では、バウムテストの事例解釈を挙げました。
私の作った整理票に従って順を追って解釈の流れを示しました。
第6章は、SCTを扱いました。
私にとって印象深いうつ病の方です。
エクセルを使って解釈を進める手法を紹介しました。
第7章では、ロールシャッハを取り上げました。
この事例も印象深く、かつて研究会で取り上げ、紀要に掲載し、講義で紹介してきた事例です。
私なりの解釈法で、丁寧に伝わるように書いたつもりです。
第8章は、解釈と伝達と題して、所見作成とフィードバックに至る基本的な事柄を書きました。
四六版で168頁の小さな本です。
鞄に入れても邪魔にならないサイズです。
中身は私の肉声が聞こえてくるような内容です。
単著としては処女作。
かなり頑張って書きました。
この小著が心理臨床家を目指す人、心理臨床家としてキャリアを積んでいる人に刺激になれば、うれしいです。