いざ心理療法へ
2023年07月04日

こんにちは、内田裕之です。

インテークでカウンセラーとクライエントさんが合意したら、心理療法が始まります。場合によっては初回面接で箱庭を作ってもらうこともあります。

2回目から本格的な心理療法が始まります。ある人はゆっくりお話して対話を深めていきます。ある人は箱庭を作ってもらい、じっくり味わっていきます。ある人はコラージュを作ってもらいます。あるいは、自律訓練法やマインドフルネスを行う場合もあります。

心理療法はどんなことをするのか、疑問に思う人もいるでしょう。心理職は医師ではありません。つらいこと、悩みごとを外科医のようにメスで切り取ることはできません。内科医のように悩みごとや苦痛を投薬で軽減したり抑えたりすることもできません。

では、何をしてもらえるのか、という話になります。我々心理職と接してクライエントさんに安心感をもってもらえるかが重要になります。もちろんカウンセリングルームでお話されたことは絶対に秘密にします。それだけではなく、カウンセラーの態度、様子、人柄、相性を見てもらって、信頼してもらえるか、親にも友人にも言えなかったことや自分でも気づかなかったことをお話しできるか、ここが重要になります。

我々心理職はクライエントさんに向き合っていきます。丁寧に丁寧にお話を聴いていきます。そして回を重ねていく中で、少しずつ少しずつ整理されていき、変容・成長されていくのを見ていきます。私の尊敬する心理療法家のマイケル・バリントは「全身の皮膚を耳にして聴け」と言っています。

目に見えない、形のない心を理解していくために、クライエントさんのことばを大切にしていきます。この点は、目に見えて形のある身体を扱う医師と違うところです。

ことばだけではなく、ことばでは表現しにくいことを夢・箱庭・コラージュなどを媒介にして、クライエントさんの心に接近していきます。場合によっては、心理テストを用いることもあります。

夢や箱庭は、媒介としてだけでなく、それらを表現すること自体が治癒力をもっています。夢を見たり、箱庭やコラージュを作ったりすることで、自然と変容や成長が進んでいきます。

この話題はこれからも続けて書いていこうと思います。折に触れて、心理療法を考えて紹介していきたいと思います。