私の苦い思い出
2023年09月25日

内田裕之です。

カウンセリングを行う上で、とても重要なことがあります。「待つ」ということです。
これがなかなか難しい。

クライエントの自己成長能力を信じる。クライエントの自己実現を信じる。こんな風に教科書的な表現になってしまいますが、この態度・姿勢を実践することは本当に難しい。

私の分析家は私を大切にしてくれました。時に、「大事なことに気付かれましたね」と支持・保証してくれました。

たいていの人は黙って付き合ってはくれないです。何か口をはさんでくるものです。「そんな話は辞めて他の話をしよう」とか「そんなことで悩んでるの?」とか「そんなことでうじうじしていて、楽しいの?」などなど。

中には「内田さんは悲しみを背負っている」とカウンセラー志望の後輩から野暮なことも言われたこともありました。わかったようなことを言われて辟易。

話は変わりますが、そもそも狂気ということばの語源はご存知ですか?
人間関係の間には「空気」「気」があります。そこに電波の話や自殺の話が持ち込まれると、この「気」が狂うわけです。それがいつの間にか相手(病者)を指すことばになったわけです。

心の病いを患った方を相手に黙って寄り添うことは本当に難しいことです。
精神科病院で弱っている患者と会い、寄り添うことの大切さを学びました。

悩んでいる時は動けないものです。悩んで悩んで、底を蹴って這い上がってくるという動きを見たことがありますか?人間にはこんな力があるのです。
その力とタイミングをみていくのがカウンセラーかもしれません。

さて、私の苦い思い出です。
小学校の頃、カブトムシを飼っていました。
サナギになり、もうカブトムシの姿をしています。
つつくとモゾモゾ動いて、遊んでいました。
早く脱皮しないか、待ちきれませんでした。

ようやく脱皮してくれました。
でも背中の厚い羽がないのです。
私が待ちきれず、つついたせいだと思いました。

子どもには待つことは難しかったようです。
哀れなカブトムシを見て、悲しい思いをしました。

待つことの大切さ、自然に成長していくのを見守る大切さ、思い知りました。

カウンセラーになった私はクライエントの成長を見守ることを大切にしています。